大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和34年(オ)940号 判決 1960年3月04日

主文

原判決及び第一審判決を破棄する。

本件訴を却下する。

訴訟費用は各審級を通じて被上告人の負担とする。

理由

職権により調査するに、地方自治法(昭和二二年法律六七号)は、地方自治法の一部を改正する法律(昭和三一年法律一四七号)により一部改正され、新たに二五五条の二の規定が追加され、右規定は昭和三一年九月一日その施行をみるに至つたところ、これによれば、町議会の除名処分に対する出訴については、県知事に対する訴願を経由すべきことは明らかである。しかるに、原審の確定した事実によれば本件除名処分のなされたのは昭和三二年一月一六日であつて、これに対する出訴につき、右改正規定の適用があることは明らかであるにかかわらず、被上告人が右処分に対する出訴につき、県知事に対する訴願を経由したこと若しくは訴願を経由しなかつたことにつき正当の事由があることについては、被上告人において何等主張していないところである。それ故、本訴は、正当の事由がなく訴願を経由しないで提起された不適法の訴と解さざるを得ない。

よつて民事訴訟法四〇八条、九六条、八九条に則り裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例